私と純日記

主に週報

仕事に対する重要な雑感

ちょっとした雑談で、10年くらい前の仕事のことをふと思い出したり、そこから芋づる式に昔考えていたことやら今考えていることやらがいろいろ頭の中を巡って、言語化したい衝動に駆られたので書く。

 

私のキャリアをざっくり書くと、新卒でWeb系のエンジニアをし、ベンチャーの事業会社でPMをし、すったもんだあって今はあるWebサービスプロダクトマネジメント的なことをしているし、マーケティングもするし、まあそういう感じ。

今の仕事は好きで、この好きな気持ちは奇跡的に、社会人になってからあまり大きくブレずに心のなかにある。インターネットに救われてきたからインターネットの仕事をしているっていう、モチベーションの底の底にあるのは、こういう気持ちなんだろうと思う。

子供の頃は好きなことを奪われてきた。あれが好きだといえば拒否され、何かに熱中していると嫌味を言われるような環境だったからだ。唯一侵害されなかったインターネットの世界だけは、当時の生きる糧だったと思うし今の自分を形成する大事な領域だ。

 

で、そんな私は、新卒で1,000人規模の一部上場の受託開発会社に入社してエンジニアをやっていたのだけど、常駐していた企業が某有名IT企業で。そこでWebサービスを作ったっていう経験はとてもよかった。ただ、一方で自分の思ったことを仕様に反映することは叶わず、ひどく悶々としていた。

安定した企業だしここにいたら安泰だったのだけど、やっぱりその悶々とした気持ちを晴らせないのはしんどくて2年足らずで退職した。今振り返ると不義理な若者だったと思う。でも、あのときの悶々とした気持ちを放置していたとしたら私に対する不義理だったろうから、さっさとやめてしまった。

辞めて入った会社は、実は今の仕事場に入社したことに大いに影響していて、人生わからんもんだなとしみじみ思う。

当時、上場企業からベンチャー企業にたった2年の職歴で入ったもんだから年収は死ぬほど下がったけど、いい人たちに囲まれて、楽しくて、自分で考えた仕様が世の中に出されて、安定なんかより大事なことを手に入れたなと思った。この会社で休職をしているのだけど、インターネットを嫌いになるわけでも、その会社もサービスも嫌いになれるわけでもかった。もちろん会社に問題はあったし、許せないこともあるのだけど、それと様々なことは切り離して評価している。

この時期、自分に対する過信が自分を追い詰めていった状況が色濃く出ていた。全部自分でやらねばならない、失敗できない、期待に答えなきゃいけない、と思い詰めていった。自分のダメな部分ばかりが肥大化していって、視野が狭くなり、ついに真っ暗闇になったって感じだ。

この経験があって、自分に対する過信を少しずつ手放していくことが出来た。一人で考えたことなんて本当にしょうもないもので、いろいろな人の意見が混ざっていいアウトプットになるんだと、今は心からそう思う。ただ、性根は自分で抱え込むことを手放しきれないので、意識的に自分と慎重に対話をして気持ちを出しすぎないようにしている。

この前後輩に「チームで議論している中で、答えを知っているだろうにスパッと言わないのはなぜなんですか?」的なことを聞かれた。その後輩とは、ランダムで集まったチームメンバーとサービスの改善をするっていうプロジェクトにぶっ込まれている。ちょうどプロジェクトで扱っている分野が私の専門分野なもんで、そういう質問をしたのだろうと思う。

回答としては2つある。ひとつは大変おこがましいのだが、学びの性質が高い場では正解を言わずにしている。PMをやってきている職歴故に、プロジェクトの進め方はそのプロジェクトの誰よりも理解しているから言おうと思えば指摘無双(?)できるのだけど、全部私が仕切っても楽しくないしやらない。

もうひとつは、やはり私の答えなどたかが知れているから、専門分野のエキスパートのお言葉のように場が作られるのは危険だと思って、発言の量や質をコントロールしている。自分の考えと大きく逸れなければ別にストレスもないし、いろいろな人の意見が質のいいものを生み出す、が実現できることが私のしたいことだと思っている(そもそも、本来仕事の正解なんてないし)。

 

結局のところ、かんたんに言ってしまえば、私の人生におけるいい状態は「自分自身が納得している」ことだ。自分が独りよがりで作った納得度の低いものより、誰かと共創して納得行くものが作れたらそれがいいのだ。自分の意見を貫き通したいのではなく、自分の意見と異なる着地になったとしても、議論して納得感が伴えばそれが最高の状態なのだ。そこを、過去の自分は履き違えていたんだろうなと思う。

今後のキャリアを考えると震えるほど心配になってしまうのだけど、年々頭でっかちになるし保守的になるから、できる限り新しいことに興味を持って面白がっていたいなと思う。それくらいしか、未来の自分に残してやれることはなさそうだし。

いろいろあるけど(あったけど)、仕事してる時間もまあまあ楽しいことが魂の救いになっているとも思う。そんな話でした。