20240807
私が担当している企画に対し、直属の上司が情報共有を怠ったせいで週前半に行った議論や作業が台無しになってしまい、他チームの同僚に「あれ、聞いてない?」というような言葉を投げかけられ「それが聞いてないんだな〜」という情けない返事をせざるを得ず、上司に怒りの気持ちを示し、気をつけてほしいと伝えた。
職場で「怒る」の感情を相手に示すには、相応の技術と信頼関係と一定の自己一致が必要だなとつくづく思う。この怒りの根源は、ただ自分の心の傷が疼いているだけではないか、理不尽な思いを相手にさせてはいないか、よく点検して言葉にするように気をつけていて、怒りといっても瞬発的な言い返しではないようにアサーションの技術をうまく頭の中で組み立てて伝えるようにする。歳を重ねて一定数は上達したのだろうと思いたい。
今回怒りの気持ちを示すにあたって、これまでの上司の情報共有の遅さや、ある種スキルとも呼べるであろう情報共有のタイミングの精度が非常に悪いことで、同僚たちの手戻りもよく見かけていて、今後このようなことがないように気をつけてほしい旨を伝えておく判断をした。
最初の上司とのやりとりではシンプルに「こういう場合はこうしてほしい、ああいう場合だったらああしてほしいです」と、具体的に行ってほしいことを伝えたが話のピントがズレ始めたので、仕方なく怒っている旨を伝えて、次回から本当に気をつけてほしいと伝えた。そこまで伝えて気をつけますと返事をされた。自分で判断して伝えたことではあるが、本当に改善するののかわからなすぎる短い返事に一定の不安を抱えて退勤した。
20240808
昨日のことを振り返って、結局のところ、上司のへこんでいる部分のスキルセットに文句だけを言いたかったわけでもなく、ただ情報共有の仕組みがないだけなんだよな、とも同時に思っていた。そもそも、個人のスキルでなんとかすることと、仕組みを作ることでなんとかすることと、ごちゃまぜで考えてもあまりいい結果にならない。
とはいえ、上司は上司で情報共有遅れの常習犯すぎる上に、誰も注意出来る人もいないし同僚たちも困っているため伝えようと判断したものではあるのだけど、今回の状況を深堀りすると、同僚(後輩)の一人が裏で業務に絡んでいるようで、その同僚がどこかの進捗共有などのミーティングで情報共有をしてくれていたら防げたであろう状況でもあった。
そこで、その同僚と話す機会を設けて、今あるミーティングを活用する方向で何か出来ることはないかと話そうとしたところ、昨日のやりとりを見ていたのか、私が共有すればこうならなかっただろうに申し訳ないですと謝られてしまった。いやいや、今回は上司が気づくべき範囲のことだろうと私は思っているから!と、フォローする。この言葉も本音ではあるが、この言葉だけが本音のすべてではないのが人間の難しいところである。
こういうのは仕組みを作れば防げると思うから一緒に考えよう、と伝えたところ、次からこのミーティングで伝えるようにしましょうか、と早々に後輩が改善案を出してくれその方向で改善案はまとまり、ついでにその業務を結構一人で抱えがちだったので、この部分のタスクは何人か詳しい人集めて議論しながら進めていこう、と提案をして今回の件は一件落着…
…したがその後、直属の上司や、その上の上司に対する同僚の不満が爆発し、確保した時間の後半は愚痴を聞く時間になった。その同僚は業務的に上司各位と話をしたりフィードバックを受ける機会が多く、その度にかなりストレスを受けているようだった。
端的にいうなら、上司各位がマッチョイズムをむんむんと漂わせるような思想を持っており、上司2人に会議室に呼ばれ、声が小さいだの言われ、別の日にはその同僚がメンターをしている新人に対してもっと新人らしくしろだの言ったらしく、他にも様々な形で気持ちの悪い圧のかけ方をしているようで、私もつい「キモ…」と条件反射的に口からこぼれ落ちるエピソードをいろいろ聞いた。2on1なんてかっこいい名前でカレンダー登録してるけど、ただの激詰めミーティングやないかい、と心の中で突っ込む。それって改善したら業績伸びるんですかねという皮肉と共に、同僚は思う存分愚痴を吐き出した。
私の世代は、そういうマッチョイズムの塊のような上司に教育されたが故に、一定のマッチョさを持ち合わせてはいる。私も根っこにはそういう思想が根強くあるのだが、一方で、自分に似合わないことをしながら身を粉にして働くことに死ぬほど嫌気が指していて、後輩には絶対に強いないように心がけているつもりだ。
一方で、やはりそういうマッチョな環境で勝ち上がって社会的に成功してしまった人たちは、それが正しいと思い込むことによって自分を保っている節があるのだろうなと感じる。上司が若者だった頃と何もかもが違うし(部署の成り立ち的にこの10年で環境がかなり変わっている)、仕事に対するモチベーションも違う若者に対して、同じアプローチが効くわけもないだろうに、自分らの正解を押し付けすぎて若者たちと溝が広がっていく。
同僚は私が思っていたよりも相当参っていたらしく、部署の何人かで飲み屋に行って第二ラウンドを開催した。昔ながらの居酒屋で、テレビでは懐メロ特集が放送されており、午後に大きな地震があったことで途中で気象庁の記者会見に切り替わるなど、なんだか近々地球が滅亡するような伏線が貼られた気がした。我々はそんな危機的状況など理解しておらず呑気に職場の上司の愚痴を言い合うという、まるでフィクションだと思った。
そこで、同僚からひどいトラウマ級のエピソードを聞き、実は私も間接的に関わっているような話だったから、私も相当参ってしまった。同僚が悩んでいたときに、信頼しているマネージャーの一人に相談してみることを勧めたのだが、相談後にそのマネージャーがとんでもない意思決定をしたために、同僚が深く傷ついてしまったという話だった。そこまでマッチョな思想をもって部下を評価しているのかと絶望にも近い気持ちを抱えることになった。それくらいひどすぎるエピソードだった。
帰ってから、早々に寝てしまいたかったのに覚醒してしまい全然寝られなかった。なんだか少し怖くもなったし、期待していたのに裏切られたという気持ちすら湧いてきて心が苦しかった。というか、マネージャーたちの判断軸が歪みに歪んでいて、自浄作用もなく、異なる立場でものを考えられないことに気味悪さすら感じた。
結局、その日は2時間くらいしか寝られなかった。
20240809
寝不足すぎてフラフラになりながら出勤。あぁ今日は上司と1on1があっていやだなぁと気持ちが沈む。
Slackを開くと昨日の同僚からDMがある。「になさんはアドバイスをくださってすごく感謝してて、ひとつも悪くないので悩んだりしないでくださいね」と気を遣われる。なんて優しい心を持っているのだろう。でもこの優しさが評価されない世界もあることが悲しい。私はきっと自分の判断を今後も悔やみ、ことあるごとにこのエピソードを思い出し絶望するだろうと思った。同僚には「私は私で勝手に悩んだりするだろうけど、気にしないでね」と返事をした。
直属の上司と1on1。1on1なんで聞こえはいいが、忙しすぎる上司への業務報告と上司にも責任を負わせるためだけの意思決定を促す時間であり、気付きなどひとつもない。この日も、淡々と言質を取るためだけの会話をしていた。
終わったあと、ちょっと時間ある?と言われありますよと伝えると、自分の部下とマネージャーたちの間で溝が広がっている気がしているけど、何か相談聞いたりしてる?気付いたことがあれば言ってほしいとのこと。
どこまで言おうかをコンマ一秒で考えを張り巡らせた結果、上司から話があったことと、まだこの上司はマネージャーになりたてで染まりきっていないから話が通じるのではないかという期待感と、私と同世代でまだ気楽に話せる側の人間だからストレートにフィードバックしてみようかな、という実験的な自分の気持ちを即座に読み取る。
「同僚がどう思っていたかは話しませんが、話を聞いた私の主観でそういうのよくないですよっていうの伝えますけど…3連休前に聞いておきます?」と念の為確認すると、聞きますという。
2on1なんて聞こえがいいが、密室に自分の評価を握っており信頼関係もない課長と部長クラスの人に人格否定されたら、それもうパワハラなんだからやめたほうがいいこと、この規模の会社でマネージャーやってる時点で、社会であなたたちは勝ち抜いてきた人たちなのだから、マッチョイズム振りかざして部下に接したところで響くわけがないだろうということなどを端的に伝え、その他、これまでの定点観測としての個別フィードバックとして、個人の能力を否定する前に仕組みを作って解決に導くように考えること、部下からの相談を後回しにしないことをまずやってみてくれと伝えた。
加えて、上司も上司で、今年から一気に部下が増えた状況があって手一杯になっている上に、リーダーシップの教科書的な何かに触発されてゴリゴリ引っ張っていくぞという気持ちで臨んでいたけどうまくいかない、とのことだった。上司も上司で傷ついており、うまくいかない気持ちを抱えてやっているんだなと理解した。
まず、構造的にめんどう見きれない人数を抱えているため、間に中堅社員を介入させて年次の低いメンバーのめんどうを見るような体制を作ってみるのはどうかと提案し(そもそもこんな配置をした部長クラスの人たちがおかしいが)、その上で、上司の気質的にゴリゴリ引っ張っていくぞのモードは合っていないためセルフブランディングの方向性を考え直したほうがいいとアドバイスした。
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この3日間、正直なにも解決してはいないし、なんとなく心に沈殿する汚れのようなものが増えた気がする。愛社精神はそれなりにあり、同僚も優しい人たちが集まっていて基本的に仕事は楽しいが、上司との溝が深いことで生まれる問題も多々ある。私はちょうどその間の立ち位置になりがちで、どちらの気持ちも理解出来るが故に、どちらにも共感しどちらにも課題はあるなと思いながら仕事をしているところがある。
ただ、人間って生き物は、共通の敵がいることで団結する性質があり、今まさにその状態なのではと感じざるを得ない。上司が全員入れ替わったら働きやすい職場になるのだろうかと問われると、決してそうでもない気はする。そういうドライな視点で職場の状況を見ている節がある。
こういうとき、根っこにあるマッチョな気持ちは頼りになるもので、いざとなったら転職でも異動でもしてやるという自信がそばにある。誰に不満を漏らそうが、自分の人生は自分でどうにかするしかないという気持ちを小脇に抱えて生きていける。マッチョな部分はこういう活かし方をすべきだよな、というのを上司各位が理解してくれたらいいのだが、期待してもしょうがないので私は私のために様々な備えをしておく他ないなと思う。